吉野象王権現は金峯山蔵王権現なり。本地は金剛蔵王大権現なり。
役小角が開山せし山に顕現す。釈迦如来・千手観音・弥勒菩薩の三尊が一体となりて蔵王権現として示現せり。
本地垂迹の理を明らかにし、神仏一体の証なり。
吉野の象王権現は金峯山(きんぷせん)の蔵王権現と同体とされ、本地は金剛蔵王大権現。役小角(えんのおづぬ)が開山した際に顕現したという縁起を持ち、釈迦如来・千手観音・弥勒菩薩の三尊を一体とした権現として金峯山寺に鎮座する。修験道の根本聖地としての成立由来を語る。
金峯山寺(奈良県吉野郡吉野町)の蔵王権現は日本独自の習合神で、釈迦・観音・弥勒の三尊合体という特殊な本地構造を持つ。役行者(役小角)は修験道の祖とされ、吉野・大峰の山岳修行の開創者として信仰される。「象王」は蔵王権現の別称で、象のように力強く衆生を守護するという意味を含む。本章は吉野山の桜信仰や南朝との関係とも結びつき、中世の象徴的霊場の縁起として広く語られた。
| 前生の姿(因位) | 顕現先・場所 | 本地仏 |
|---|---|---|
| 蔵王権現(象王権現) | 金峯山寺 本堂 | 金剛蔵王大権現(釈迦・千手・弥勒の三尊合体) |