熱田大明神の本地には二つの説あり。熱田の本地は大日如来なり。神宮寺は薬師如来なり。
八剣は太郎・次郎の御神にして、本地は毘沙門天王・不動明王なり。日別・火神は三郎・四郎の御神にして、本地は地蔵菩薩・阿弥陀如来なり。
大福殿の本地は虚空蔵菩薩なり。後見の源太夫殿は文殊菩薩なり。記太夫殿は弥勒菩薩にして、源太夫殿の兄なり。
熱田大明神が最初に天下り給ひし時、記太夫殿は宿を借せ給ひし。本地垂迹の理を明らかにし、神仏一体の証なり。
熱田大明神の本地には二説あり、主神の大日如来をはじめ、境内の諸社殿ごとに薬師・毘沙門・不動・地蔵・阿弥陀・虚空蔵・文殊・弥勒の各本地仏が配当される。記太夫殿(弥勒菩薩)が大明神降臨の際に宿を提供したという縁起を付す。草薙剣を御神体とする熱田神宮の多神的構造を本地垂迹の枠組みで体系的に説明する。
熱田神宮(愛知県名古屋市)は日本武尊の東征伝説と草薙剣を御神体とする尾張国一宮。記太夫殿(弥勒菩薩)が大明神降臨時に宿を貸したという縁起は、在地氏族の奉仕関係を仏教的に説明するもので、神道集特有の「前生物語」的手法の一形態。境内の複数社殿に個別の本地仏を割り当てる構造は、春日大明神事・武蔵六所大明神事などと共通する列挙型の縁起形式である。
| 前生の姿(因位) | 顕現先・場所 | 本地仏 |
|---|---|---|
| 熱田大明神 | 熱田神宮 本殿 | 大日如来 |
| 記太夫殿 | 神宮寺 | 薬師如来 |
| 八剣(太郎・次郎) | 八剣宮 | 毘沙門天王・不動明王 |
| 日別・火神(三郎・四郎) | 境内社 | 地蔵菩薩・阿弥陀如来 |
| 大福殿 | 大福殿 | 虚空蔵菩薩 |
| 源太夫殿 | 後見社 | 文殊菩薩 |
| 記太夫殿(兄) | 記社 | 弥勒菩薩 |