TOKIWA
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連載・第一篇 SERIES PART I
巻第七 第四十二

摂津芦刈明神

Settsu Ashikari Myōjin-ji — Shintōshū, Vol. VII, No. 42
典拠神道集 巻第七 第四十二
著者渡邉 朱鷺
巻第七 第四十二 摂津芦刈明神事
原 典

摂津芦刈明神は、芦刈の明神なり。本地は竈神(かまのかみ)なり。

夫婦の因縁譚により、芦刈の地に顕れし事なり。

本地垂迹の理を明らかにし、神仏一体の証なり。

【要 約】

摂津の芦刈の地に鎮座する芦刈明神の縁起。本地は竈神(かまどの神)で、夫婦の因縁譚によって芦刈の地に顕現したという。家庭の火の神・竈神を本地とする点では釜神事(巻第八)と類似し、在地の民間信仰を本地垂迹の体系に組み込む。

【注記】

芦刈明神は摂津国(大阪府北部・兵庫県南東部)の葦の生い茂る浜辺に関連する神社の縁起。謡曲『芦刈』(世阿弥作)の典拠とも関わり、貧しい夫が芦を刈って生活し、後に妻と再会するという夫婦再会の物語が縁起に含まれるとみられる。竈神を本地とすることは、芦刈り(芦を燃料とする行為)と火の神との結びつきを示す在地的な説明原理で、釜神事と対をなす。摂津・和泉の沿岸民俗信仰が神道集の唱導の場で語られた例として注目される。

── 本地仏対応表 ──
前生の姿(因位)顕現先・場所本地仏
芦刈明神摂津 芦刈社竈神(釜神)