TOKIWA
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連載・第一篇 SERIES PART I
巻第七 第三十七

蟻通明神

Aridōshi Myōjin-ji — Shintōshū, Vol. VII, No. 37
典拠神道集 巻第七 第三十七
著者渡邉 朱鷺
巻第七 第三十七 蟻通明神事
原 典

欽明天皇の御代に、唐より神璽の玉が『大般若経』に副へられて伝来したり。

此の玉は天照大神が天降り給ひし時、第六天魔王より貰ひ受けし物にして、国を鎮める宝なり。

玄奘三蔵が蟻の腰に糸をつけ、蟻通の道を通じて経を取り来たりし故事により、蟻通明神と称す。本地は牛頭天王なり。本地垂迹の理を明らかにし、神仏一体の証なり。

【要 約】

欽明天皇の代に唐から伝来した神璽の玉は天照大神が第六天魔王から得た国鎮めの宝。玄奘三蔵が蟻の腰に糸をつけて「蟻通の道」を開いて経典を取り来たした故事により蟻通明神と称する。本地は牛頭天王で疫病除けの神格と習合する。

【注記】

蟻通神社(大阪府泉佐野市)の縁起に取り込まれた玄奘三蔵の「蟻通」説話は、中国の「糸通しの難題」型説話の日本的変容。本来は穴の曲がった貝に糸を通す難題(蟻に糸をつけて通す)として知られ、在原業平の歌(古今集)にも関連する。牛頭天王(祇園信仰)との習合は疫病除けの神格として和泉国沿岸部の民衆信仰を反映。「第六天魔王」という表現は中世の神道論・本地垂迹論における天魔降伏の論理と関わる。

── 本地仏対応表 ──
前生の姿(因位)顕現先・場所本地仏
蟻通明神蟻通神社牛頭天王(習合)